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探索と活用はトレードオフ

はじめに

探索と活用はトレードオフの関係にあります。この事実は私たちの意思決定に大きく影響しています。今回はこの探索と活用について考えてみます。

 

探索:新しい情報を集めること。

例:新しい音楽を聴く。見たことないシリーズの映画を見る。行ったことのないレストランに行く。

 

活用:探索ですでに得た情報を活かして利得を得る

例:お気に入りの本をもう一度読む。なじみのレストランに行く。昔からの親友と遊ぶ。


探索と活用はトレードオフ

私たちは探索することで、生涯にわたって楽しめる新しいものに出会える可能性があります。

例えば音楽を聴くことを考えてみます。聴いたことのなかったアーティストの音楽を聴いてみて、それが生涯自分を楽しませるアーティストととの出会いになるかもしれません。しかし、音楽を聴くために使える時間は(音楽以外もそうですが)有限です。そのため、新しいアーティストの音楽を聴く分だけ、すでに知っている自分のお気に入りのアーティストの音楽を聴く時間は無くなります。これは音楽以外の趣味や人と過ごす時間などあらゆることに言えます。新しいものと出会うこと(探索)とすでに知っているものを楽しむこと(活用)はトレードオフなのです。


残り時間が重要

では、私たちは探索と活用をどのように使い分けるべきなのでしょうか。

実はその割合を決めるのは残り時間です。

 

例えば家の近くのレストランに行く時のことを考えてみます。あなたは先月この町に引っ越してきたばかりで、この後3年はこの町に住むことになりそうです。家の近くの中華屋さんは引っ越してから何回か行ってるのですが、すごく美味しいのでお気に入りです。他にも近くにはレストランがたくさんあるのですが、まだ行っていません。

このような状況であれば、次の食事は近くのお気に入りの中華屋でなく、行ったことのないレストランを試してみようという気になると思います。

 

では、次の場合はどうでしょう。

あれから3年が経ち、あなたは引っ越すことになりました。あれからいくつかレストランは行きましたが、たくさん美味しいお店に出会いましたが、やっぱりお気に入りは近くの中華です。ただい、まだまだ行ったことのないレストランはあります。さて、引っ越し前の最後の食事はどこで食べますか。

この場合は新しいレストランではなく、近くのお気に入りの中華屋に行くのではないでしょうか。

 

当たり前ですが、引っ越してきた時の状況と引っ越す直前の状況で何が違うかというとこの町で過ごす残り時間です。新しいレストランを探索するのは、もし美味しかったらまた来ようという期待があるからです。また来る時間がもうないのなら、美味しくないかもしれない新しいレストランを試すより、自分がお気に入りのレストレランを活用して最後の食事を楽しもうと考える方が自然です。

 

このように探索と活用の使い分けは、そのあとにどれだけ活用するための時間が残されているのかで決まります。

 

*探索には新しいお気に入りに出会うというめちゃくちゃ嬉しい可能性がある反面、つまらないものに出会って資源(時間やお金や体力)を無駄にするリスクがあります。

*活用には新しいお気に入りに出会うほどの喜びはないかもしれませんが、安定した楽しさがあります。

 


人生においても探索と活用の割合は変化する

探索と活用のトレードオフは人生の段階においても効いてきます。

一般に若い人ほど柔軟で、年寄りになると頭が固くなると言われますが、それは実は人生の残り時間と関係します。

若い人が新しい人と出会ったり、新しい考え方を取り入れてみることに積極的になれるのは、それらを使う時間が残されているからです。

反対に年寄りの人は、自分と合わないかもしれない人と新しく出会って時間を過ごすより、これまでの長い人生の中で自分が探索した結果で会ったもっとも気の合う人や物を楽しんで(活用して)過ごしたいと考えます。

実際に、「もし後20年プラスして生きられるなら」と仮定してみると年寄りの方でも探索よりの行動をしてみたいとなるそうです。


探索の時期には探索を、活用の時期には活用を!

これまでの議論を踏まえると人生を後悔なく生きるには、若い時にはしっかりと探索をして自分のお気に入りコレクションを充実させることが大切です。(区切りのある時を過ごす場合はその前半では探索に力を入れる。例えば、大学生になったら最初の1,2年は色んな学問や人に触れることを大事にする。その中のお気に入りを残りの何年かで深める。)

そして、残り時間が短くなったらコレクションを愛でるようにして楽しく暮らすのです()

 

*そう考えると若いのに人の話を聞けないとか、本を読まないとかはダメですね。逆にいい年になってきてるのにいつまでの力を分散していてはダメで、これまでの経験から何かを深めていく方が良さそうです。

 

*お年寄りの話をなぜ聞くべきかというと、その方たちが長い探索の果てに生き残ったお気に入りの話だからです。それらはいわば大量に買ってきたカードの中でのレアカードたちです。これをもらえるのだったらちゃんと話を聞いた方がいいですね。(その代わりに同じレアカードを何回も見せられることもありますが。。。)


終わりに

大事なことは探索しすぎて活用する時間がなくならないようにすること。逆に探索を早々と切り上げすぎて内容が薄くならないこと。このバランスを保つことですね。

 

今回はここまでです。最後までお読みいただいてありがとうございました。